ばね指とは？症状や原因、自分でできる対処法から治療方法まで解説 2024年9月4日

「指が曲がったまま戻らない」「指がばねのようにカクンと跳ねる」などの症状がある方は、ばね指の可能性があります。ばね指とは、手の指を動かすための腱（けん）が炎症を起こし、曲げ伸ばしがうまくできなくなる疾患です。

今回は、ばね指の主な原因や症状を解説しながら、対処法、予防策もまとめて解説します。

ばね指の主な原因

ばね指の症状は、さまざまな要因が関係して現れます。ここでは、ばね指を発症する主な原因を5つ紹介します。

手・指の使いすぎ 

ばね指の原因として多いのが、仕事や家事、スポーツなどによる指の使いすぎです。手指を動かすための腱（けん）と、腱の通り道となる腱鞘（けんしょう）に負荷がかかり続けると炎症を起こし、痛みが生じます。

ばね指は、PCのキーボード・マウスの操作や料理・洗い物などの家事を長時間行う方、ゴルフ・テニスなどの手指を使うスポーツ、ピアノ・弦楽器などの楽器演奏をする方に多くみられます。

また、工場勤務や事務などで同じ体勢や作業が長時間続く方は、性別に関係なく誰でも発症する可能性があります。

老化・加齢 

年齢を重ねると腱の動きが悪くなり、腱の通り道である腱鞘も厚く硬くなります。すると腱や腱鞘に炎症が起こりやすくなり、指に少し負担がかかるだけでばね指を発症することがあります。

また、腱や腱鞘は主に「コラーゲン」と呼ばれる線維状のタンパク質でできています。加齢によってコラーゲンの体内合成力が低下すると、ばね指が治りにくくなるのです。

ホルモンバランスの変化 

女性の場合、ホルモンバランスの変化によってばね指が起こりやすくなります。

更年期になると女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が減少します。エストロゲンには組織を滑らかに保つ作用があるため、更年期になると腱と腱鞘に炎症が起こりやすくなります。

一方、妊娠中は女性ホルモン「プロゲステロン」の分泌量が多くなります。プロゲステロンは妊娠を継続させるために重要なホルモンですが、腱鞘を収縮させる作用もあります。そのため、プロゲステロンの分泌量が多くなる妊娠中は腱の通り道が狭くなり、摩擦によって炎症を起こしやすくなるのです。

栄養不足 

腱や腱鞘の大部分はコラーゲン線維でできており、コラーゲン線維は鉄やタンパク質、ビタミンCによって合成されるといわれています。そのため、これらの栄養素が不足すると腱の状態が悪くなり、ばね指を起こしやすくなります。

また、女性は妊娠中に大量の鉄が胎児に送られ、出産時も出血によって鉄が失われます。そのため、産前産後は鉄不足によってばね指や腱鞘炎を発症しやすくなります。

その他 

関節リウマチや糖尿病などの持病がある方、人工透析を行っている方は、手や指の血行が悪化しがちです。そのため腱や腱鞘に十分な栄養が行き届かず、ばね指を発症するリスクが高くなります。

ばね指の症状 

ばね指の主な症状は下記の通りです。ひとつでも当てはまれば、ばね指を発症している可能性があります。

・手のひら側の指の付け根の痛み・腫れ・熱感

・指の曲げ伸ばしが滑らかではない

・指の曲げ伸ばすときに引っかかる感じがある

・指のこわばり・動かしにくさを感じる

・指が曲がったまま伸ばせない

・曲がった指をまっすぐにしようとすると、ばねのように跳ねる（ばね現象）

朝方に症状が強くなるものの、日中に手指を動かしているうちに症状が軽減することも多いです。ばね指はどの手指にも起こりますが、特に親指、中指、薬指などでの発症率が高い傾向があります。

ばね指になったときの対処法

ばね指の症状が軽症であれば、適切な対処をすれば改善することが多いです。症状が悪化すると痛みやばね現象が強くなるため、早めの対処が重要です。ここでは、自分でできる治し方やケア方法を紹介します。

ストレッチをする 

指を動かさないようにすると血行が悪化するため、適度に動かしましょう。簡単にできるストレッチのやり方を紹介します。

＜グーパー運動＞

両手の指をしっかり伸ばして3秒キープしたあと、手をギュッと握り2秒キープします。この動きを10回ほど繰り返しましょう。

＜指反らし＞

手首を軽く反らせ、指を伸ばします。もう片方の手を使い、さらに反らします。5回を1セットとし、1日3セット行うのがおすすめです。

＜関節はさみ＞

痛みのあるほうの指で痛くないほうの指を横から握るストレッチです。痛みがあるほうの手のひらを広げ、関節部分に、痛くないほうの人差し指と中指を横から置きます。次に、痛みのある方の指を曲げ、反対側の人差し指と中指を握ります。5回を1セットとし、1日3セット行いましょう。

手指を適度に動かすことで、屈筋腱の柔軟性の回復が期待できます。なお、ストレッチ中に痛みが強くなった時はすぐに中止してください。

マッサージをする 

酷使して固くなった手指の筋肉をマッサージでほぐすケアもおすすめです。自分で手軽にできるマッサージ方法を2つ紹介します。

＜腕と手の皮膚を引っ張るマッサージ＞

1.肘の内側や手首の皮膚を軽く引っ張る（15秒間）

（つねるのではなく、痛みの出ない範囲でまんべんなく引っ張るのがポイント）

2.手の甲側の腕の皮膚も同じように引っ張る（15秒間）

3.ばね指の症状が出ている指の付け根の皮膚を引っ張る（15秒間）

4.手の甲側の皮膚も、同じように引っ張る（15秒間）

＜前腕屈筋群 を圧迫するマッサージ＞

1.肘の内側から手首にかけて、ポイントをずらしながら親指で圧迫する（10秒ずつ）

親指で圧迫しながら手のひらを上に向けたり下に向けたりすると、より効果的です。

2.手のひらや指の付け根も、同じように圧迫する（10秒ずつ）

サポーターやテーピングをす る

サポーターやテーピングをすることで、使いすぎた指の無理な動きを制限できます。テーピングは指の大きさに合わせてハサミで切り、強めに引っ張りながら指のつけ根の関節から指先にかけて貼ります。親指に貼るときは、テーピングを横に引っ張りながら半周させましょう。

湿布を貼る 

ばね指の痛みを一時的に緩和したい場合は、湿布を貼りましょう。ただし、湿布には症状を改善する作用がないため、湿布の効果がなくなると再び痛みを感じます。

冷やしたり温めたりする 

ばね指の症状によって「冷やす」「温める」の対処法が異なります。手指の使いすぎで痛みがある・熱っぽさを感じるときは、アイシングによって腱の炎症を抑えましょう。

一方、血行不良によって手のこわばりがある・痛みが長く続く場合は温めるのがおすすめです。

ばね指の主な治療方法

医療機関でばね指を治療する方法は、大きく分けて2種類です。ここでは、症状を改善させるための「保存療法」と、切開によって根治を目指す「手術療法」に分けて治療法を紹介します。

保存療法

ばね指の保存療法には、主に薬物療法と注射があります。

薬物療法

症状が軽い場合は指の安静を保ち、非ステロイド性消炎鎮痛剤（NSAIDs＝ロキソニンなど）や湿布で炎症を抑え、症状の改善を目指します。

注射

痛みで物が持てない・日常生活に支障をきたしている場合などは、即効性のある腱鞘内ステロイド注射を行うことがあります。1度で完治しない場合や再発した場合は、再び注射することもあります。

手術療法 

腱鞘内ステロイド注射でも症状が改善しない場合・再発を繰り返す場合は、医師から手術療法を勧められることもあります。ばね指の手術では、痛みの原因となっている腱鞘を切開します。手術は局所麻酔を使用し、5分程度で終わるのが一般的です。

ばね指の予防策 

一度でもばね指を発症すると完治に時間がかかりやすいため、できるだけ手の酷使を避け、発症を防ぐことが大切です。前項で紹介した対処法は、ばね指を予防する方法としても有効です。はね指が完治した場合も、自分でストレッチをしたり整骨院などで施術（ストレッチ・マッサージ）してもらったりすることで、再発を防ぎましょう。

まとめ

はね指の原因は手・指の使いすぎや加齢、ホルモンバランスの変化、栄養不足など多岐にわたります。放置すると悪化することがあるため、できるだけ早めに対処することが大切です。

くまのみ整骨院では、丁寧なヒアリングで身体の状態をチェックしたうえで、無理のない施術を行っています。再発を防ぐセルフケアのアドバイスも行っていますので、ばね指でお困りの方はぜひお気軽にご相談ください。